藤原豊成朝臣の娘。聡明さと、ひたむきな信仰心を兼ね備える。俤びとへの一途な想いから當麻寺まで嵐の荒野を歩き通す。當麻曼荼羅を織り上げたと伝えられる中将姫がモデル。




天武天皇の皇子。風貌に優れ文武に秀でて、人望も厚かった。物語では、謀反の罪で処刑されるが、死の間際に見た耳面刀自への執心から亡霊となり、この世をさまよう。




『万葉集』の編纂者のひとり。学を好み、歌を愛する才人だが、政治的には不遇だった。物語中では、内省的でものごとに執着せず、諦観した人物として登場。




藤原武智麻呂の次男で、郎女の叔父。栄達を極めるが、後年、謀反の計画が露見して失脚する。物語では極めて世俗的な人物として登場。




當麻の村の語り部の老女。媼が語る大津皇子の物語を郎女は真剣に聞く。そのために媼は郎女への執心を深め、後に尼の姿になって郎女を助ける。




郎女の乳母。格式を重んじ権高いが、郎女を護り仕えて、その聡明さを尊ぶ。真っ先に當麻寺まで駆け付け、庵で物忌みをする郎女に仕える。




神隠しにあった郎女の魂を呼び戻すために遣わされ、魂乞をする村人達の長老。50年前に処刑された大津皇子の霊を塚の中から呼び醒してしまう。